「未来予想図」~経営者コラム~
So what 2016 GDPの内訳を25年分並べてみた・・・
今からほぼ1年前に非常に話題になった、トマピケティ教授の「21世紀の資本」。
経済の分野で久々の話題作ということで、購入したものの、読むのには相当な根気と時間が必要で、いまだ完読せず。しかし、ピケティ先生の分析は、内容は別にしても、そのアプローチからも非常に示唆があります。ビックデータ分析の有用性が言われて久しいですが、どんなにでかいデータでも、意味合いを抽出できなければただのガラクタです。そういう観点では、納税に関する歴史的な統計データを「ひたすら時系列を長くとる」(なんと300年超!)ことで大きな示唆を示そうとしたピケティ先生の試みは、データ分析の観点からも金字塔かも知れません。
そこで、すごいと思ったらマネてみよう!ということで、300年には遠く及ばないものの、1980年以降の日本の「低成長時代」の25年間(1980年~2015年)のGDP内訳の推移をグラフ化してみました。ちなみに、たった25年でも、統計的には連続したデータがなく、これ作るだけで結構大変です。・・・300年やろうと思ったらどんだけのことか・・・
注)このグラフは、積上げグラフではなく、単純な面グラフである。
もっともはっきりと特徴的なのは、やはり1989年のバブル崩壊です。これを機に急拡大していた民間投資が一気に縮小し、これを上回る規模で政府支出が増えてきていることが判ります。1989年以降、日本の民間投資の水準は1度もバブル期のピークの水準に戻っていません。
一方で、民間消費を見てみると、(自分としては)意外なことに、バブル崩壊後も1997年(金融危機前)までは、一貫して消費支出が増えてい点です。これは人口がまだ増えていたからと推察されます。しかし、それ以降、民間消費支出も横ばいとなり、GDPの規模を維持するために政府支出が大きな役割をになってきている様子が伺えます。
このままどんどん消費税率があがれば、GDPの最大の構成要素である消費が(ただでさえ人口減少で減っていくのに)さらにブレーキがかかり、その分財政支出が拡大し続けることになります。少子高齢化の必要コストといえばそれまでですが、やっぱり経済資源の分配が、市場機能中心から政府中心に実はどんどん変わっていくというのは、民間人としてはなんとなくさみしいところです。