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「未来予想図」~経営者コラム~

「未来予想図」~経営者コラム~

量的緩和縮小はいつか?

作成日:2013年09月07日(土)

2013年9月8日から2013年の年末にかけて外国為替に大きく影響を与える可能性があるイベントが続きます。今回のコラムは、これから13年末までの比較的短期の間に起きるだろう大きなイベント事項について、その帰結を予測してみたいと思います。

 

2012年は「世界のリーダーが交代(または再任)する年(大きな選挙が続いた年)」といえます。そして2013年は、新リーダーのアクションの年といえます。また、重要なイベントも多く、それらが新リーダーにより差配されて、その結果が2014年以降の大きなトレンドの源になるのではないかと思います。今日から年末までの100日はこうした新たな「止められないトレンド」に影響を与えそうなと思われるイベント事項が多くあります。

 

 

 

ではこの100日になにが起きそうなのか?私なりに予測してみたいと思います。 

 

①2013年9月8日:2020年東京オリンピック開催が決定する。

②2013年10月~11月:消費税増税が決まる。(ただし、段階的増税になる可能性あり)

③2013年10月~11月:消費税増税に合わせて日銀の量的緩和策が強化される。

④2013年10月~11月:成長戦略の工程表が決まる。 ⑤2013年12月:FRBがフェデラルファンドレートの切り上げを決める。

 

その結果として、

・ドル円レート:110円~115円 ・日経平均株価:18000円~19000円 ・新興国経済の減速・低迷(特に中国および中南米)

 

 

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その根拠は

 

①⇒オリンピック候補としての東京の最大の懸念は原発問題です。これについては、G20を途中退席してまで現地に飛んで、安部総理が自ら世界に向けて安全対策をコミットするというのはとても重いことだと思われます。(一国の総理の言葉は軽くない)。スペイン(財政危機)やイスタンブール(紛争)の問題は、だれかがコミットすれば懸念が払しょくされる(または軽減される)というたぐいのものではないから、問題の質が違うと思われます。(もちろん原発の問題はとても深刻であることは当然の前提です)。だから、決選投票になったとしても東京が勝つのではないかと思われます。

 

②⇒消費増税は実施されると思います。消費税増税しない場合、逆に日本の財政リスクが懸念されて長期金利が上がってくる可能性が高いと考えられます。段階的にやるか、一気にやるかの方法論はありますが、上げないという選択肢はないように思われます。

 

③⇒そして消費税をあげる以上、日銀は必ず金融緩和を強化すると思われます。これが再度円安を誘導すると予想します。

 

④⇒安部政権は、ねじれが解消して当面怖いものなしだから、今回は成長戦略についても、結構思い切った具体策が入ってくると期待します。

 

⑤⇒FRBは、米国の失業率が7%を切ってくればQe3(量的緩和策)を終了させると思われます。そして結果として日米金利差が拡大して円安が本格化する、新しいトレンドに入るのではないかと想定されます。一方で、米国の金融緩和が縮小されれば、緩和の恩恵に預かっていた新興国(特に中南米でしょうか?)はかなり大きなダメージを受けることが懸念されます。(個人的にはブラジルビジネスにかかわった経験があり、かの国がとても好きなので、今後のブラジル経済が心配です)

 

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その結果として、日本は「失われた××年」から脱却する糸口を2013年末までにつかむのではないかと期待します。

私は、アベノミクスの帰結をスタグフレーションと予想していますが、限定条件付きでこれは撤回したほうがよいかもしれません。その限定条件とは、やはり①の東京五輪開催決定です。

 

五輪開催が決まれば、人々の期待に対する働きかけ(要は明るい気分になる)や、内需への寄与はかなり大きいと思われます。私がアベノミクスの帰結としてスタグフレーションが起きると予想した根拠は、名目賃金が上がらないから、という理由です。しかし、東京五輪の決定を契機として、内需の高まり、消費の高まりが円安に後押しされ、強力な景気回復軌道に乗る可能性があると思われます。

 

 

 

 

 

経済学の教科書には、賃金の上昇は労働需給のひっ迫によってもたらされる、と書いてあります。 要は、良心的な経営者が従業員のことを思いやって賃金を上げてあげるから、ではなく、「人が足りないから高いかね払う必要がある」という状態が本当の賃金上昇、という意味ではないかと思います。

 

こうした動き(労働需給のひっ迫)は、東京五輪決定を機にまずは流動性の高いアルバイトや派遣から強くなっていって、1~2年程度で正社員にも波及してくる可能性はあると思われます。したがって、五輪が決まればスタグフレーション予想は撤回です。

 

ただし、五輪が決まらなかった場合は、スタグフレーション予想は据え置きかと思います。東京五輪(①)がなくても、②~⑤といった変化は起きると思われますが、その場合の経済へのインパクトはあまり力強くはならないと予想します。なぜなら、その場合は円安によるコスト高のマイナス面のほうが、その他のプラス効果より経済に大きく影響するように思えるからです。

 

被災地の方々の心情、厳しい現状にも配慮しつつ、東京五輪決定で被災地も含む日本全体が明るくなることを願います。

 

 

 

 

 

 

 

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