「未来予想図」~経営者コラム~
国家戦略と企業戦略のアナロジー
みんなの党が参院選で躍進しました。今回の選挙でみんなの党が得た、「キャスティングポード」を握る第3勢力、というのは、政治が数といわれる世界で、少数でありながらも「戦略的な行動が可能なポジション」という意味で、面白いと思いました。
みんなの党がどっちにつくかで、法案の成否が決まる、という局面があり得なくない、というこのポジションを国際外交の世界に当てはめてみたとき、日本の外交戦略、国家戦略に対してなにか示唆がないか、と考えてみます。
自民党と民主党に当てはまるのは、国際外交の世界では当然米国と中国です。 そして、今後の世界経済が、この2大国を中心に動いていくであろうことは想像に難くありません。
日本は、明治開国以来、「アジアであってアジアでなく」「欧米であって欧米でない」という唯一無二のポジションを取り続けてきました。 そして今の日本は、アメリカという世界大戦後の覇権国と軍事同盟を結びつつ、中国というアジアの新大国と経済面では密接な関係が深まりつつあります。
今後も、こうした「経軍分離」(経済面での主要緊密国と軍事面での主要緊密国の不一致)とも呼べる傾向はずっと続くでしょう。 この日本の経軍分離というポジションは、実は世界の外交バランスを考える上で、実は非常にユニークなのでは、と思います。 |
|
|
中国(や新興国)との貿易で日本企業が稼いで、その一部が税収となり、結果的にその一部が日本の自衛隊予算なり、思いやり予算として米軍事同盟の強化に使われる、ということであれば、巨大化する中国を「上手く使って」返すカタナで中国の覇権拡大に対する抑止力を向上させることになります。
3国の関係をこう捉えると、世界のパワーバランスを考える上で実に絶妙であり、日本の役割は大きいと思われます。
もし、今後、特にオバマ政権が失敗して、米国がもう一度「ブッシュ的アメリカ」を志向するような未来が来て、アメリカがどんどんおかしな方向に行き過ぎるようなことがおきれば、中国との協力関係を軍事面でも強化するというオプションを持つことで、アメリカに対するけん制にもなり得る(これは現時点ではぜんぜんリアリティーはないけど、理論的可能性としてはあり得るのかもしれません。
|
こう考えると、人口も減り、高齢化も進む日本だが、世界における「みんなの党」的なポジションを取って、平和的な世界の発展に貢献する余地は十分にあるのではないでしょうか。このユニークなポジションを生かして、日本がもっともっと能動的に国際社会での地位を高めることができることを願います。