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Homeコラム Column企業戦略とM&Aに関するコラム起死回生の戦略としてのM&A

起死回生の戦略としてのM&A

今回のコラムでは、起死回生型のM&Aについて考察してみたいと思います。これは、広義の意味では、本来水平統合の一種に分類すべきタイプのM&Aとも言えます。基本的には同業他社を買収することが想定されるからです。

 

しかし本コラムでは、既に既存市場で優位性のある事業の水平統合とはあえて分けて、このタイプを再成長(起死回生)型のM&Aとして分類してみたいと思います。

 

このようなタイプのM&A、例えば国内市場で長年業界トップ3に甘んじ、今後の国内市場でのシェア奪還が困難とみられる事業において、新興国など、成長期にある市場に他社に先駆けて参入し、そこでのシェア拡大を狙う戦略と言えます。特定エリア(国、地域)において、マーケットチャレンジャー、またはマーケットニッチャーである企業が取ると考えられる戦略です。

 

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業界3位以下に位置する、チャレンジャーやニッチャー(3位以下)にとっては、戦略の是非が事業に与える影響は、1位、2位の企業以上に非常にクリティカルだと考えられます。1位、2位が取るべき戦略的オプションはそれほど多くないのに対し、「業界3位またはそれ以下」というポジションは戦略のオプションが多いためです。逆に言えば、戦略次第で大化けする可能性があるポジションでもあり、ある意味非常に面白いポジションでもあります。戦略という意味ではインド市場で成功しているスズキの例が近いかも知れません。(スズキはインド進出を時間をかけて自前でじっくり行っており、M&Aで参入したわけではありませんが・・)

このポジションにある企業・事業は、それでも市場・サービスを進化、変化させて、成長を目指すか、教科書的な理論通り、早期の撤退、または最悪の場合は清算を決断するかどうか、という難しい判断を常に迫られることになります。

 

 

トランザクションの特徴・ディールブレークイシュー

 

このような案件の場合、既存市場で競争力が低い自社の事業が、成長性の高い市場にポジションを移すだけで本当に競争優位を築けるのか、という点について、非常に慎重な分析が必要です。

 

現地ローカルの先行競合企業には勝てるのか、勝つにはなにか条件となるか、ターゲットだけでなく、参入しようとする市場と業界構造、競争環境に関する洞察が他にも増して重要となります。メジャープレーヤーがひしめくアジアの新興国ではなく、ニッチな南米の中堅国のマーケットをあえて狙うなど、ニッチトップを目指す発想も有効になる可能性がありますが、それだけに他社がなぜ、やらないのか、もしくはできないのか、そこはブルーオーシャンなのか、不毛地帯なのか、強みを生かせるのか・・・慎重に見極める必要があります。

 

取引スキーム

 

新市場に先んじて参入して、先行者メリットを取ることが最大の目的となるため、ターゲット企業を丸ごと買収してでも、その販路に自社の製品を早く供給することが必須となります。

 

■PMIのポイント

 

一刻も早く新市場で自社の既存製品・サービスのシェアをあげることが最も重要になると思われます。また、これは水平統合の類型でもあるため、ターゲットとの他の競合があとから参入してきても脅威になりにくくする(または参入できない)ような手だてを講じることができないか、といった点も検討し、打てる手は早く打つことも重要です。

 

例えば、同業他社が次に買収しそうな競合を、先んじて追加買収してしまう。現地法に基づく重要な特許等を抑えて、参入障壁を高める、などが理論的には考えられます。そして、市場シェアを早く高め、競争優位性を早く築くために、時間との勝負がより重要になります。

 

今回は、起死回生型のM&Aについて考察してみました。しかし、このタイプの案件の実行は他のタイプのM&A以上に、価値実現のための難易度が高く、絵に描いた餅に帰することが懸念されます。本来撤退すべき事業が、撤退しないための「言い訳」になってしまう恐れもあり、より慎重な検討が必要と思われます。

 

 

6回のコラムで、全社戦略(ポートフォリオ変革)の観点で見たM&Aの意味合い、及びそれぞれにおけるディール、PMIの特徴等を概観することに挑戦してみました。当然、実際のディールでは、このような定型的な考察にとらわれることなく、次々と変わる案件状況にいかにアジャストし、知恵を絞ることが必要と思われます。

しかし、様々なM&Aを、自社の全社戦略と紐付て体系化し、様々なケースを想定して常に様々なシミュレーションをしておくことは、いざ案件が佳境に差し掛かったとき思わぬ役に立つこともあるのではないかと考えます。