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Homeコラム Column企業戦略とM&Aに関するコラム垂直統合戦略としてのM&A

垂直統合戦略としてのM&A

 

今回のコラムでは、垂直統合型のM&Aについて分析してみたいと思います。

 

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このタイプのM&Aの目的は、主に次の2つと考えられます。

 

・バリューチェーンの機能強化による競争優位性の向上

・バリューチェーンを川下側(市場・顧客寄り)に拡大することによる新市場への参入

 

ひとつめは、垂直統合型そのものであり、研究開発に弱い企業が、研究開発型の企業を買収することで機能を補完したり、マーケティングに弱い企業がこれらの機能をなんらかのM&Aにより強化するといったパターンです。

垂直統合型というと、基本的にはこのひとつめのM&Aの目的(機能強化)をイメージすることが多いと思われます。

 

ふたつめのパターンは、製品製造メーカーで、販売をすべて代理店等に依存していた企業(販売店が顧客という意味でBtoBのビジネス)が、代理店を買収してエンド顧客へのリーチを確保するような場合です。

 

これは、一義的には「販売」という機能の強化と捉えることができます。しかし同時に、これまでと異なるBtoC市場への参入、という意味で、新たな市場への参入、と捉えることもできます。

ここでは、このふたつめのタイプのM&Aも含め、垂直統合M&Aは、広義では自社の競争優位性を高めるための機能強化、と捉えて、主にひとつめの目的に則した考察をします。

 

この、機能強化型M&Aは、水平統合型のM&Aに比べてより戦略的な目的が明確になりやすいという特徴があります。そして、目的が分かり易いが故に他のタイプのM&Aとは異なるむずかしさがあるように思われます。

 

■トランザクションの特徴・ディールブレークイシュー

 

このタイプのM&Aの案件の進み方としては、バイサイドによる、よりプロアクティブなアプローチをとることが多くなります。たとえば、欧州で、XX製品の研究開発機能を強化したい、現在料調達機能を強化したい、現地販売チャネルを確保したい、となった場合、そういったプロファイルに合う企業を自らリストアップし、タッピングしていく必要があります。

 

こうしたケースにおいて、持ち込み案件(売却が顕在化している案件)を待っていても、こうしたプロファイルに合うターゲットが出てくる可能性は相対的に低いと考えられるためです。従って、タップしては断られるということを繰り返し、結果がでるまでには数年かかるということもざらにあると思われます。とても忍耐強い取組みが必要になるケースと思われます。

 

一方で、こうした特定の機能を買収したいというニーズは、自社のバリューチェーン構築戦略から導出される個別性の高い動機であり、他社も全く同様の動機を持って同じターゲットを買収する意向を持っている可能性は相対的には他のケースより低いと考えられます。したがって、垂直統合型の場合、水平統合型案件と比較すれば、入札ではなく、相対かそれに順ずる形で進めることができる可能性は比較的高いと思われます。

 

また、案件の規模も相対的にそれほど大きくならないことが想定されます。特定の機能を手中にすることができるのであれば、基本的にはターゲット企業自体の規模は大きな問題とならないことが多いためです。

 

垂直統合型のM&Aにおいてもっとも困難なのは、「ターゲット企業が持つ、欲しい機能以外の経営資源や事業をどうするか」という問題です。例えば、自社としては調達機能だけが欲しいとしても、当然ターゲットは自社の事業の継続を考えれば、調達機能だけを売却することはほぼあり得ません。

 

したがって、欲しいもの以外をどれだけ買収スコープからはずすことができるか、また、それら「必要のない機能」も含めて買収した場合、どのような対応が必要か、ということが最も大きな課題となり、交渉の重要論点のひとつとなります。

 

■取引スキーム

 

このタイプのM&Aの場合は、事業譲渡や会社分割等のスキームにより、「欲しいもの(機能)だけを買いたい」買い手と、株式譲渡により、「まとめて売りたい」売い手との間で、取引スキームの交渉になることが多く見受けられます。しかし、各機能が有機的に繫がって価値を紡ぎだしている企業体を、必要な機能だけ切出すというのは現実的いにはあり得ないことがほとんどで、多くのケースでは、取引が成立するためには、買い手が会社全体を引き受けて、自社のバリューチェーンにそれをどう統合していくか(または部分的に整理するか)を考えることが現実的と思われます。

 

■PMIのポイント

 

分割スキーム等により守備よく特定機能や経営資源のみを買収できる幸運なケース以外は、ターゲット企業の事業を継続しつつ、特定機能を自社のバリューチェーンに組み込んで活用するためにどうするべきか、統合後の双方のバリューチェーンのリ・デザインとその実行が最大のポイントとなります。

 

守備よくコストシナジーまで実現できれば満点といえそうですが、効率的にそこに至るには、買収前の段階で、ターゲットのマネジメント層と統合プランをきちんと共有・合意しておくことが重要と思われます。FAのみならずこうした領域に専門性がある外部専門家をうまく活用できるかどうかも重要です。

 

今回のコラムでは、垂直統合型のM&Aについて考察してみました。

次回は、多角化型のM&Aについて考察してみたいと思います。