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企業戦略とM&Aに関するコラム

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マネジメントインタビューはいつやるべきか?

作成日:2015年09月24日(木)

M&Aトランザクションにおいて、デューデリジェンスが重要なのはいうまでもありません。ビジネス・会計・税務・法務・環境、といった各視点でターゲットのリスクや投資採算性を精査し、適切な投資判断を行うための材料としなくてはなりません。

 

こうしたDDのプロセス全体のスケジュール立案、売り手FAとの調整・協議等のロジスティックスは、通常買い手のFAが担うことが多いのですが、最近ではM&A経験豊富な事業会社では自ら実施することも多くなっています。

 

このM&Aプロセス管理において、個人的に重要なポイントになると考えるのが、マネジメントプレゼンテーション/インタビューをいつ設定するべきか、という問題です。さらに具体的に言えば、通常2週間前後のデータルームDD(最近ではバーチャルが多いですね)期間の、冒頭にやるのか、最後にやるのか、という問題です。

 

マネジメントとの面談は、重要なDDプロセスの一部として、買収候補者がターゲット企業のマネジメントと最初に合う(多くの場合)重要なミーティングです。このマネジメントインタビューの目的を整理すると、おおよそ次の通りになります。

 

・経営陣の人となりを理解する

・経営陣と信頼関係を築く

・経営陣が考える事業戦略、事業計画を理解する

・DDにおける不明事項や疑問点を確認する

 

では、こういった目的に鑑みると、マネジメントとの面談はいつ設定すべきでしょうか。私なりの答えは、

 

「原則としては、なんとしてもDD期間の冒頭、一番最初にやる」

 

というものです。マネジメントインタビューは、買収候補者と経営陣がコミュニケーションをし、お互いを理解することが本質的にもっとも重要です。特に、オーナー系の会社は経営陣が取引相手でもありますから、なおさらです。また、もし経営陣と株主がが完全に異なる非オーナー系の会社でも、経営陣の考え方や事業の方向性が自社と会うかどうか等々、経営陣を理解し、信頼関係を築くことはとても重要です。

 

しかし、私の感覚では、日系企業は特に、マネジメントとの協議をDDの最後にやりたがる傾向があるように感じます。これは、DDでの発見事項やリスクをできるだけ把握してから経営陣にそれらを聞きたい、という意図が強く働くためです。また、各調査チーム(ビジネス、法務、会計、税務等々)も、データルームの資料にきちんと目を通してから効率的に質問したい、という強いニーズがあります。

 

もちろん、マネジメント面談は、DDプロセスの一貫ですから、その考え方も一理あります。しかし、それ以前に、日本人のカルチャーとして、まずはお互いが直接会って目と目を合わせて話をしてからすべてが始まる、という考え方があまり一般的ではないからのように感じられます。

 

もちろん、マネジメントプレゼンテーションと、マネジメントインタビューを明確に分けて、2回開催できれば、プレゼンテーションはDD開始の冒頭で、インタビューは最後で、設定すべきでしょう。しかし、多くの場合は、時間的制約もありそんな贅沢は許されないことがほとんどです。

 

であるならば、マネジメントとは、DDの冒頭に合うべきである、と考えます。お互いの顔が見えることで、初めて相手も、こういう考え方を持っているからあの資料を開示してほしいと言っているのだな、など、DDにおける確認事項のポイントを理解し、資料開示にもある程度積極的になってくれたりすることが多いと感じます。(もちろん、お互いの考えの溝が明確になり、逆効果になる場合もありますが、それはそれで早く結論が出てよいとも言えます)

外部専門家のインタビューは、必要に応じてライトパーソンとの間で別途設定するよう掛け合えば良いのです。

この私の考え方はおそらく賛否両論あるかとは思いますが、特にオーナー系、またクロスボーダーの場合は、多少無理をしてでも、なんとしても最初にマネジメントと合う、というのがとても重要だと感じます。

 

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