テクノロジーとイノベーションに関するコラム
プロダクトアウトとは?~其の弐~
プロダクトアウト型のマーケティング(なんか言葉が変ですが・・・)について、前回は、顧客を知る気もなく、セグメンテーションする気もない、「THE プロダクトアウト型」について説明してみました。
本稿では、あえてこのプロダクトアウト型マーケティングの更なる細分化をしてみたいと思います。ふたつ目は、「パーティー券販売型マーケティング」です。これは、顧客を理解して、欲しいものを売ろう、という気は全くないが、ターゲットだけは結構明確、というやつです。
典型例はいわゆる政治家のパーティー券です。(あくまで、例えば、の話です)。
政治資金調達のためには、政治家は高いパーティー券を買ってもらわなくてはいけないのでターゲットは明確です。そう、ターゲットはずばり、「金持ち(小金もち?)」です。
それから、政治家の先生と利害関係がありそうな人です。業界団体、地縁、血縁、その他、使える縁はなんでも使って、とにかく売る!!売るぞお!!というやつです。一方で、そのパーティーにその人が本当に心から出席したいのか、(ニーズ)については、恐らくですが、??? ですよね。(もちろん、涙を流して参加する熱烈な支持者も当然いるでしょう。私も尊敬する政治家のパーティーならお金払ってでも参加してみたいと思います。)
お金と政治に関する汚職への反省から、政党支援金制度など、必要な資金はできるだけ公正明大に獲得できる制度が整い、このようなパーティー券売りは少なくなってきているかもしれません。しかし、政治家の先生方が本当に真剣に活動しようとすると、まだまだお金が足りないのが実態のようです。
今後ネット献金などが日本でも普及してくれば、本当に応援したい政治家にお金を出し、政治家もそれで十分なお金が集まる、という環境になるかも知れません。そうなればそれは政治とお金についてとても良い変化をもたらす可能性があります。
しかし、これを成功させるには、「どのような不満(=ニーズの逆)を持った有権者層(セグメント)に対して、どうアプローチするのか、という、マーケティングがやはり重要で、その巧拙は、成功をかなり左右するように思われます。
ちなみに、政治家に限らず、この手のパーティー券、XX券というのは、私たちの身近に結構あるように感じます。ダンスサークルの発表のチケットを売りさばかなくちゃいけない。友人のバンドがコンサートを開くので、何枚かさばいてくれないか。娘のピアノ発表会のチケットを・・・
一見押し売り(≒プロダクトアウト)になりそうなこうしたXX券も、やり方と工夫次第(どんなニーズを持った人にどうやって売るか)で喜ばれることもあるし、うまく売れないこともある、このようなことは多くの人が経験あるでしょう。いまさらいうまでもありませんが、そう考えると、マーケティングというのはあらためてとても身近な話です。
今回は、プロダクトアウト型のマーケティング②「パーティー券型」について考察してみました。次回は、プロダクトアウト型の三つ目の形態について考察してみたいと思います。