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テクノロジーとイノベーションに関するコラム

テクノロジーとイノベーションに関するコラム

マーケティングを定義できますか?

作成日:2014年08月01日(金)

 

およそ6年前に私が当時それまでの金融の世界から初めて経営コンサルティング(旧:IBMビジネスコンサルティングサービス、現IBM)の世界に飛び込んだき、衝撃的だった2つのことがあります。

 

ひとつめは、いわゆるピュアコンサルタント、というカテゴリーの人は、あまり財務諸表を読めないということ。こう書くと、コンサルタントの方々からは「読めないわけないだろ!」とお叱りを受けそうですが。(もちろん、例外はいます。)

 

ふたつ目は私にとってはさらに衝撃でした。自分が、「マーケティング」という考え方を全く知らない。圧倒的に無知である、ということです。あまりに無知すぎて、自分がマーケティングについて無知である、ということに気が付くのにしばらくかかったくらいです。

 

それから6年間のIBMでの経験を経て、何が自分にとって最大の学びだったかといえば、それは、「マーケ―ティング」という考え方に触れ、学び、それを応用して、実際のプロジェクトにも挑戦できたこと。そして、この領域で時代の最前線をいくIBMの圧倒的知見と、こうした領域における化け物のように優秀な人々の存在に触れることができたことです。

 

しかし、同時にこうも思いました。この領域では、用語の定義や意味合いがあいまいで、結構みんな好きなことを言っている。そして、それぞれが使っている言葉の意味合いも、各々似ているようで微妙に違う。

 

そもそも、マーケティング、という言葉の定義自体が不確かです。あるとき思い立って、マーケティング領域の専門コンサルタント複数に、「マーケティングの定義を教えてください。」と聞いたことがありますが、同じ答えが返ってきたことは一回もありませんでした。もちろん、それぞれの方に教えていただいた定義は、それぞれ正しいように思われました。

 

それだけ、マーケティングという言葉は多様な意味を持った概念と言えます。

 

ネットで調べてみると、例えばアメリカマーケティング協会では「マーケティング

」という用語について、次のように定義しています。

 

「マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。」

「出所:Wiki」

 

難しいですね。

 

一方、日本マーケティング協会の定義は、次の通りです。

 

「マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。」

「出所:Wiki」

 

やっぱり難しいですね(><)

なぜこうなるかということを、当時マーケティングについて全くの素人だった私なりに考えてみた結論は、次のようなものです。

 

マーケティングは、企業と顧客との接点において生じる、人間と人間の関係について考察する分野であるため、常に「変化」を伴う。そのため、その活動範囲を限定したり定義づけすること自体に意味がない、というものです。

 

もちろん、企業活動においてマーケティングなど意味がない、ということではありません。全く逆でマーケティングこそが企業の死活を分ける上でもっともクリティカルであり、すべての企業はこの活動から無縁ではいられないことはいうまでもありません。

 

このコラムでは、マーケティング素人だった金融屋がコンサルティング会社でのOJT(On the Job Trainingの略 ※Omae Jamada Tattero の略ではありませんので念のため)を通じて学んだマーケティング、という概念について、新社会人でこれからマーケティングを学びたい、というくらいの方に説明するつもりで書きたいと思います。

 

戦後史を振り返ると、マーケティングという概念が、特に日本において広く浸透してきたのは1970年代以降です。作れば売れる、という時代が終わり、なにが売れるか、考えざるを得なくなったからです。

 

このころよく言われた言葉に、「プロダクトアウトからマーケットインへ」というものがあります。この言葉は当時の時代の流れを端的に表しています。ところが実は、この言葉も、結構人によって使い方が違うマーケティング用語の典型です。

 

そこで、このコラムでは、この言葉を起点として、マーケティングという活動を改めて弊社なりに俯瞰し、整理してみたいと思います。そして、最終的に、テクノロジーの爆発的な進化がもたらし得る、近未来のマーケティングの可能性とそれが企業や社会に与える影響について最新の議論(クラウドとマーケティング)を整理してみたいと思います。

 

今回は、マーケティング活動というものに対する弊社の問題意識とコラムの目的について説明しました。次回以降では、次のようなマトリクスを用いて、企業のマーケティング活動の歴史や特徴を考察してみたいと思います。

 

marke1 1

 

上図について少し説明致します。弊社は、マーケティング活動の「型」(タイプ)は、上記の2軸により、9つのタイプに整理し得るという仮説を持っています。まず軸について説明します。

 

横軸:

顧客(潜在も含む)の欲求(月並みに言えば「ニーズ」)をどれだけ理解または想像して企業活動に生かしたいという意欲、姿勢があるか、という顧客に対するスタンス、を横軸としています。

 

縦軸:

自社の顧客を想定する際に、どの程度の「セグメンテーション」(市場/顧客の細分化)を行うか、という、ターゲティングに対する姿勢です。「顧客を●●軸で●●パターンに分類してみました!!」という、コンサルタントが大好きな、あれです。このセグメンテーションについて、全くやる気がないのが、一番下のマトリクスになります。逆に、究極のセグメントとして、(というよりも、もはやセグメントという発想を超えて)個客(個人)にアプローチすべし、というレベルが一番上のマトリクスです。

 

そして、この軸に基づいて3×3=合計9タイプのマーケティングが存在する、というのが弊社の仮説です。仮にそうだとして、9つそれぞれに、どんなタイプのマーケティング活動といえそうでしょうか?

 

次回以降で、弊社なりのご説明してみたいと思います。

 

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